隣地との高低差、敷地内高低差

「道路より1mくらい高い土地なんですが、利用価値が著しく低下している土地に該当しますか?」
このような質問をよく頂きます。

このような土地の高低差について、まずは基本通達の規定等を確認しておきましょう。 
<財産評価基本通達 6>(この通達の定めにより難い場合の評価)

6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

この規定に従い、以下「利用価値の著しく低下している宅地の評価」により10%評価減します。
<平成4・5・12評価官情報第2号>

普通住宅地区にある宅地で、次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。

  1. 道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
  2. 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
  3. 震動の甚だしい宅地
  4. 1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの
また、宅地比準方式によって評価する農地又は山林について、その農地又は山林を宅地に転用する場合において、造成費用を投下してもなお宅地としての利用価値が著しく低下していると認められる部分を有するものについても同様です。
ただし、路線価又は倍率が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合にはしんしゃくしません。

要約しますと、「周辺の土地よりも高低差や振動などがある土地は、10%評価減してよい、ただし、その減価要因が路線価や固定資産税評価額に反映されているなら、評価減できない」ということです。




減価できる理由

そもそも、前面道路より高い土地や低い土地はなぜ、「著しく利用価値が低下」しているのでしょうか?
それは、「高低差を是正して利用するにはお金がかかる」からです。つまり、駐車場をつくるために鉄筋コンクリートで空間を確保する、階段や手すりやスロープを造る、家を建てるために土留めするといった工事には相当な費用がかかります。この工事費用分が「減価」となるわけです。例えば3,000万円の土地なら300万円くらいは工事費がかかるでしょう、だから減価していいですよ、という規定なのです。


実務上の判定

では、実務上は「じゃあ、利用価値が著しく低下ってどの程度?何m?」と迷います。
かなり主観的な感覚の問題でもありますので、ここでは参考となる判例・裁決例で判断していきます。

請求人らは、甚だしく高低差のある土地については、著しく利用価値が低下している土地に該当し、自用地と評価した額から10パーセントに相当する額を控除した価額により評価すべきである旨主張するが、当該土地の近隣の土地についても同様な高低差がみられ、当該土地のみの形状でないから、当該土地に接する路線価に反映されているものと認められ、請求人の主張は採用できない。

(平 9.12.18名裁(諸)平 9-33)
新幹線の高架線の敷地に隣接し、かつ、元墓地である土地の価額の評価について、請求人は、新幹線の震動・騒音による10%の評価減のほか、本件土地には第2次世界大戦中の空襲による死者の人骨が埋没しており土の入替えが必要であることから、更に50%の評価減をすべきと主張し、原処分庁は、本件土地が現に宅地として使用されているから土の入替えによる評価減は認められないので、元墓地であることの評価減10%と震動・騒音による評価減10%を合わせた20%の評価減とすべき旨主張する。

しかしながら、本件土地は元墓地であったが昭和19年4月に別地に改葬され、人骨が埋没していると認めるに足る証拠もないことから、元墓地であることによる10%の評価減を行った原処分をあえて不相当とすべき理由はない。

また、新幹線の高架線の敷地に隣接していることによる著しい利用価値の低下については、甚だしい震動及び騒音のほか、本件土地の付近は、主として住宅地として利用されており、高架線が地上約7メートルの高さにあることからすれば、日照及び眺望への影響が認められるので、震動及び騒音による10%の評価減に加え、更に10%の評価減を行うのが相当である。

(平13.6.15仙裁(諸)平12-33)
請求人は、本件甲土地は、接面道路に対して1.5m~2.6m高い位置にあり、評価に当たって、避難安全上の階段・スロープの設置費用及びそのつぶれ地を加味する必要があるから、10%の減額が可能である旨主張する。

しかしながら、この高低差は、本件甲土地の全体に生じているものではなく店舗の敷地部分に限られており、本件甲土地は、店舗の床面を国道の高さに合わせたことにより店舗の敷地としての利用価値が高められており、付近の宅地の利用状況に比較して利用価値が低下していないから、本件甲土地の接面道路との高低差は、評価額を減額する要因とは認められない。

(平18.3.10仙裁(諸)平17-12)
原処分庁は、本件各宅地は、本件東側道路より平均で1.2m程度高い位置にあるものの、本件東側道路に接する本件各宅地以外の宅地も本件東側道路より高い位置にあり、本件各宅地だけが、その付近にある宅地に比較して著しく高低差があるとまではいえないから、利用価値が著しく低下している宅地には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各宅地は、周辺の宅地と比して、本件東側道路より約1.2m高い土地であり、また、本件各宅地のみが、この高低差のために車両の進入ができないことに加えて、本件東側道路の幅員及び路面状況にも差が認められることなどの本件各宅地の事情を総合勘案すると、本件各宅地は、この付近にある他の宅地の利用状況からみて、利用価値が著しく低下した土地であると認められる。

(平19. 4.23 関裁(諸)平18-67)

上記判決・裁決事例で読み取れるポイントは3つ、
① 評価対象地だけが周辺の土地よりも1m以上高低差があるか
② 路線価に高低差による減価が反映されているか
③ 高低差は評価対象地の一部だけの場合は、高低差のないところから通常の利用ができるか
前面道路と高低差のある土地に出会ったら、上記3つのポイントで判断してみてください。
なお、高低差以外の利用価値低減要因があれば10%+10%=20%の減価可能ですが、この判断はやや慎重に行う必要があると思われます。

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