「利用価値が著しく低下している宅地」の評価~騒音編②~
では、実務上は
「じゃあ、利用価値が著しく低下している騒音ってどの程度?」
「何を基準にすればいいの?」
と迷います。
「うるさい」と感じるかどうは主観的な感覚の問題でもありますので判断が難しいです。
そこで参考となる裁決例から読み取ってみることにしましょう。
鉄道沿線の土地について、
①評価計算に採用された路線価が電車走行による振動及び騒音の要因を斟酌して評定されていないこと、
②鉄道沿線から20m範囲内では電車走行による騒音及び振動が環境省の騒音対策における指針である60デシベルを超えていること、
③同地区に存する分譲地における分譲価額に開差が10%を超える取引事例が存在すること
からして、資産評価企画官情報による著しく利用価値の低下している宅地として、鉄道から20mの範囲内の部分について、その相続税評価額から10%を減額するのが相当である。
(平15.11.4東裁(諸)平15-95)
この裁決事例だけが「鉄道沿線から20mの範囲内」「60デシベル」という数値による明確な判断基準を示していますので参考になります。
とはいえ、線路から20m以内なら必ず減価できるのかというとそういうものでもありませんので、私なりに解釈して解説します。
騒音の基準について
「環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境基準」
で次のとおり告示されていますので、これを参考にします。
環境省HP
「騒音に係る環境基準について」
http://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html
この基準に従って各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(または市長)が指定しています。
例えば東京都の場合「B地域」は、「第1種住居地域で、2車線以上の車線を有する道路に面する地域以外の一般地域は昼間は55デシベル以下」というように定められています。
ここまで明確に基準が絞れてくれば、あとは現地で騒音計を使い計測して、この地域の土地で電車が通るたびに55デシベルを上回る、というようなことがわかれば10%減しても差し支えないでしょう。
実際の調査では騒音計でデータ収集し、グラフ化して見やすくして申告時に資料として添付すれば十分根拠を示したことになります。
(騒音計は建物、塀等から1~2m離し、約1.2mの高さに設置)
ここまでやっておけば否認されることはないのではないかと思います。
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