高圧線の下の土地、鉄道等のトンネルの上の土地

高圧線の下の土地、鉄道等のトンネルの上の土地には区分地上権が設定されている場合が多くあります。

区分地上権というと何やら難しいように感じますが、実は意外と身近にあるもので、土地評価においても見落としがちな減価要因のひとつです。

区分地上権とは、「工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権」をいいます。
簡単に言いますと、鉄道や高速道路などが地下を通っている場合の、その通っている空間部分の権利ですね。
なお、財産評価基本通達では、特別高圧架空電線の架設や高圧ガス導管の敷設等を目的とした地役権も「区分地上権に準ずる地役権」として、その評価方法があわせて記載されています。

これらの権利が存する土地は、建物の建築が制限 (構造、用途、高さ、荷重等)されますので、その制限の度合いに応じて土地の価値が下がります。従って土地評価にあたっても減価要因となります。




調査で見落とさないためのポイント

地下鉄のトンネルなどを目的とする区分地上権は、登記されていることが多く、登記簿の甲区に記載されています。
設定目的や権利存続の期間、利用制限、使用料などが記載されていますので、すぐに気付きます。
しかし、まれに土地所有者がトンネルの設置を承諾しておらず、話し合いがついていない場合などは、土地収用法の手続きに従って収用され、「使用権」として登記されていることもありますので要注意です。
また公図をみると、区分地上権設定部分が分筆されており、斜めにラインが入っていますので気付くと思います。

区分地上権に準ずる地役権は登記されている場合とされていない場合があります。
公図からも読みとれませんので、現地で上空を見渡して確認することが必要です。
線下の土地所有者と電力会社の間で結ばれている契約に基づき、制限内容を確認しますが、不明な場合は、鉄塔に掲示されている鉄塔番号札を確認し、電力会社に利用制限内容、離隔距離などを問い合わせます。


評価にあたって①

財産評価基本通達では以下のように規定されています。
(区分地上権の評価) <財産評価基本通達より抜粋>

27-4 区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。

この場合において、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができるものとする。
(平3課評2-4外追加、平6課評2-2外・平12課評2-4外改正)

(注)
  1. 「土地利用制限率」とは、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則(昭和38年3月7日用地対策連絡協議会理事会決定)別記2≪土地利用制限率算定要領≫に定める土地利用制限率をいう。以下同じ。
  2. 区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されているときは、「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となることに留意する。
(区分地上権に準ずる地役権の評価) <財産評価基本通達より抜粋>

27-5 区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。

この場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げるその承役地に係る制限の内容の区分に従い、それぞれ次に掲げる割合とすることができるものとする。

(平3課評2-4外追加、平6課評2-2外・平12課評2-4外改正)

  1. 家屋の建築が全くできない場合 100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合
  2. 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30

図解すると以下のようになります。(要は、評価額は自用地の4~7掛け程度になるということです)



  • 土地利用制限率を個別に計算する場合というのは、高層利用が可能な商業地区の土地などに限られてきますので、ここでは公共用地の取得に伴う損失補償基準細則 別記2≪土地利用制限率算定要領≫ 「建物階層別利用率」の表は割愛します。
    個別に算定の必要がある場合は、かなり高度な専門知識を要しますので不動産鑑定士等の専門家に依頼した方がよいでしょう。


評価にあたって②

倍率地域にある土地の場合は、以下のように規定されており、役所での調査が必要になります。
(倍率方式により評価する宅地の自用地としての価額) <財産評価基本通達より抜粋>

25-2 倍率地域にある区分地上権の目的となっている宅地又は区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額は、その宅地の固定資産税評価額が地下鉄のずい道の設置、特別高圧架空電線の架設がされていること等に基づく利用価値の低下を考慮したものである場合には、その宅地の利用価値の低下がないものとして評価した価額とする。

なお、宅地以外の土地を倍率方式により評価する場合の各節に定める土地の自用地としての価額についても、同様とする。

(平3課評2-4外追加、平12課評2-4外改正)

対象地が倍率地域にある土地である場合は、固定資産評価額が利用価値の低下を考慮して評価されたものかどうか、を市町村役場(資産税課など)で調査しましょう。


評価にあたって③

借地権が存する土地(貸宅地)の下に地下鉄が通っている場合は、以下のように計算します。



※実際の計算は、1×(1-区分地上権割合)×(1-借地件割合)でやれば簡単です。



計算方法は「区分地上権に準ずる地役権」に関しても同様です。

区分地上権に関しては、現地調査、役所調査、資料の確認を行い、権利の存否およびその内容を漏れのないように確認して評価に反映させるようにしましょう。

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